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桂新堂

桂新堂店舗

平面に日本の四季を映し出す、和菓子屋としての矜恃

桂新堂といえば、誰もが知っている名古屋名物のえびせんべいの専門店。企業訪問やご挨拶の手土産に、桂新堂のえびせんべいを持参したとか、逆にいただいたという人も多いのではないだろうか。それほど名古屋土産としても定着している感がある。

大野湊(現在の愛知県常滑市)ではその昔、えびが湧くほど獲れたのだそう。そこで保存食としてえびのはんぺんを生産し始めたことが、桂新堂のルーツである。 1866年の創業以来、えびせんべいの専門店として丁寧な手仕事で定評を得てきた。

今のような商品ラインアップを揃えるようになったキッカケは、バブル期真っ只中の頃だった。世の中の高級志向が高まり、日本の食生活はとても豊かなものへと変貌を遂げた。「普通のえびせんべいではなく、驚くような商品を作ろう」と立ち上がったプロジェクトで考案されたのが「車えびの姿焼き」だったのである。

えびの姿がそのまませんべいになっているのだから、当時その品を見た人々はさぞ驚いたことだろう。その影には開発に携わった人々の試行錯誤があり、毎日鉄板を前にして何度も試作を繰り返していたという。

創業以来のものづくりスピリットは、その後の商品展開にも、しっかりと受け継がれていく。「もっとオリジナリティのあるものを!もっと季節感を!」商品開発チームではえびせんべいに季節感を取り入れ始めた。

平成の元号に変わったころのことである。いわゆる上生菓子などとは違い、えびせんべいは平面だ。その平面に季節感を表現することはたやすいことではない。常に季節感を意識し、平面への表現という挑戦を続けつつ、時には新素材を組み合わせ、デザイン性の高い数々のえびせんべいを発表し続けているのである。

番頭さん

季節のお菓子

  • 桜のたより(桜花)
  • 風薫るスイートレモン
  • 秋ゆうほ(秋の彩り)
  • 車えび姿焼き
  • 桜のたより(桜花)

    桜が咲き始めるころから散り際まで限定販売される桜を使ったえびせんべい。3種類のえびせんべいを詰合せており、咲き始めには桜の蕾をプレスしたものが、満開には桜の花を象った小さなせんべい、散り際には桜の葉の塩漬けがプレスされたものを。桜舞い散る風を感じるような、この風情に、日本人でよかったと思えるのでは。

  • 風薫るスイートレモン

    黄色と白色が表裏になっているレモン味のえびせんべい。白いえびせんべいに、レモン味のチョコレートをプレスして焼きつけてある。えびせんべいとレモンの味わいが重なってあまじょっぱく、爽やかなレモンの香りが特徴。黄色と白色のコントラストも味わいも、清々しさに満ちている。

  • 秋ゆうほ(秋の彩り)

    こちらも秋の風景をせんべいに仕立てた詰合せ。紅葉のじゅうたんの美しい風景が描かれているもの、栗の形をしたえびせんべい、松茸のスライス入りのせんべい、どんぐりやアーモンドの形のせんべいなどが詰合せに。秋の景色をせんべいの中にぎゅっと閉じ込めたような意匠性に、実りの秋を実感する。

  • 車えび姿焼き

    桂新堂の代表作品ともいえるのが、車えび姿焼き。活きた車えびを形がくずれないようにプレスしてからあられがまぶしてある。お正月のご挨拶など、おめでたい時の手土産にぴったりの華やかさである。車えび・甘えびを詰合せたお品もあり、食べ比べもできる。(通年商品)


桂新堂 本店

住所:名古屋市熱田区金山町1-5-4
TEL:052-681-6411
営業時間:10:00~18:30
定休日:なし
URL:http://keishindo-shop.com/
SNS:


周辺情報

周辺情報

副都心・金山の顔として情報を発信する金山南ビル

金山総合駅の南口を出ると、目の前に桂新堂の店舗が、右側には名古屋都市センターの入っている金山南ビルが見える。金山南ビルには、名古屋都市センター(名古屋市の外郭団体である公益財団法人名古屋まちづくり公社 名古屋都市センター)や、旧ボストン美術館があり、名古屋のまちづくりの一端を担っている。特に旧ボストン美術館は、美術館としての役目を終えた今でも、時々企画美術展を開催するためのオープンギャラリーとして使用されている(2022年11月時点)ので、訪れたことがある人も多いだろう。

一方、名古屋都市センターでは、まちづくりに関する専門書などを備えたライブラリーや、まちづくり展示空間などがあり、交流活動拠点として広く市民に開かれている。ちなみに、この名古屋都市センターの上階から見晴らす金山総合駅の風景がなかなかの圧巻。名鉄とJRの線路が見えて、鉄道マニアならずとも、電車が行き交う様子を見て楽しめるだろう。このほか、さまざまな情報発信基地となっているので、金山近辺でぽっかりと時間があいたら、気軽に寄ってみてはいかがだろうか。

大正はいからさん

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