桂新堂といえば、誰もが知っている名古屋名物のえびせんべいの専門店。企業訪問やご挨拶の手土産に、桂新堂のえびせんべいを持参したとか、逆にいただいたという人も多いのではないだろうか。それほど名古屋土産としても定着している感がある。
大野湊(現在の愛知県常滑市)ではその昔、えびが湧くほど獲れたのだそう。そこで保存食としてえびのはんぺんを生産し始めたことが、桂新堂のルーツである。 1866年の創業以来、えびせんべいの専門店として丁寧な手仕事で定評を得てきた。
今のような商品ラインアップを揃えるようになったキッカケは、バブル期真っ只中の頃だった。世の中の高級志向が高まり、日本の食生活はとても豊かなものへと変貌を遂げた。「普通のえびせんべいではなく、驚くような商品を作ろう」と立ち上がったプロジェクトで考案されたのが「車えびの姿焼き」だったのである。
えびの姿がそのまませんべいになっているのだから、当時その品を見た人々はさぞ驚いたことだろう。その影には開発に携わった人々の試行錯誤があり、毎日鉄板を前にして何度も試作を繰り返していたという。
創業以来のものづくりスピリットは、その後の商品展開にも、しっかりと受け継がれていく。「もっとオリジナリティのあるものを!もっと季節感を!」商品開発チームではえびせんべいに季節感を取り入れ始めた。
平成の元号に変わったころのことである。いわゆる上生菓子などとは違い、えびせんべいは平面だ。その平面に季節感を表現することはたやすいことではない。常に季節感を意識し、平面への表現という挑戦を続けつつ、時には新素材を組み合わせ、デザイン性の高い数々のえびせんべいを発表し続けているのである。
住所:名古屋市熱田区金山町1-5-4
TEL:052-681-6411
営業時間:10:00~18:30
定休日:なし
URL:http://keishindo-shop.com/
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金山総合駅の南口を出ると、目の前に桂新堂の店舗が、右側には名古屋都市センターの入っている金山南ビルが見える。金山南ビルには、名古屋都市センター(名古屋市の外郭団体である公益財団法人名古屋まちづくり公社 名古屋都市センター)や、旧ボストン美術館があり、名古屋のまちづくりの一端を担っている。特に旧ボストン美術館は、美術館としての役目を終えた今でも、時々企画美術展を開催するためのオープンギャラリーとして使用されている(2022年11月時点)ので、訪れたことがある人も多いだろう。
一方、名古屋都市センターでは、まちづくりに関する専門書などを備えたライブラリーや、まちづくり展示空間などがあり、交流活動拠点として広く市民に開かれている。ちなみに、この名古屋都市センターの上階から見晴らす金山総合駅の風景がなかなかの圧巻。名鉄とJRの線路が見えて、鉄道マニアならずとも、電車が行き交う様子を見て楽しめるだろう。このほか、さまざまな情報発信基地となっているので、金山近辺でぽっかりと時間があいたら、気軽に寄ってみてはいかがだろうか。