ツーリング

不老園正光

不老園正光店舗

8代目を継ぐ身として、不変と変化の両方を求めて

名古屋にはかつて4店の不老園があり、現在はそのうちの2店が市内で和菓子屋を継いでいる。初代がみりん屋として商いをはじめ、4代目が和菓子をメインにしたのが嘉永元年(1848年)。4代目の息子たちがそれぞれに和菓子店を開いたので、そこで不老園が4店舗になったのだそう。現店主の林有美さんは初代創業者から数えると8代目である。

そんな長い歴史を持つ不老園の定番の人気商品は、「不老饅頭」の名前で親しまれる焼き菓子であった。その看板商品を2015年にリニューアルしたのが林さん。すべての商品において、合成着色料や添加物をなるべく使わず、国産の素材にこだわって、安心して子どもたちに食べてもらえる和菓子を作りたい!という思いからだった。

ところが林さんはお父様とは商品に対する考え方でしばしば衝突が。代々受け継いできた商品を変えるな、というお父様と、時代に即して柔軟に変化させていきたいという林さん。でも根底にある「良いものを、美味しいものを届けたい」願いは父娘ともに同じ。基本のレシピは変えずに、生菓子の色やデザインには変化をつけて、父が守ってきたものはきちんと受け継ぎたい。そんな思いを胸に林さんは新しいものにも果敢に挑戦を続ける。和菓子への情熱を交わし合ったお父様も鬼籍となられ、今はお母様と林さんの2人で店を切り盛りする。

お百姓さん

季節のお菓子

  • わらび餅
  • 和葛
  • 焼栗
  • 花びら餅
  • わらび餅

    本わらび粉と国産きな粉に、やわらかいこしあんを使って作り上げるわらび餅は、春の定番人気。ぎりぎりのやわらかさで仕上げるため、ちょっと楕円でしずんだように見えるのだとか。

    甘さ控えめでやさしい味わい。店主の林さんいわく「わたしの好きな味」とのこと。

  • 和葛

    やわくず、と読む。牛乳を葛でやわらかくとろんとろんにまとめたミルクプリンの上に季節ごとのジュレがかかったもので、大人気商品。

    葛を使ったところがいかにも和菓子屋らしい。大納言小豆・抹茶・苺・黒胡麻は通年商品。夏はフルティカトマト、秋には和栗やほうじ茶などが登場する。

  • 焼栗

    ちょっと大ぶりの栗きんとんの表面に焼き目をつけてあり、他ではあまり見ないタイプ。名前の通り、焼栗のような風味と味わいがある。

    大きめサイズは、一個食べて満足感を感じて欲しいから、という作り手の思いが込められている。9月〜11月中旬まで、栗がなくなり次第終了。

  • 花びら餅

    お正月の和菓子といえば、花びら餅が最初に思い浮かぶ人も少なくないだろう。紅味噌あん・ごぼうの甘露煮を羽二重餅でくるんだもの。

    お正月期間限定の商品になるため、電話予約をおすすめしたい。


御菓子司 不老園正光

住所:名古屋市中区古渡町11-32
TEL:052-321-4031
営業時間:9:00〜18:00(日曜〜16:00)
定休日:水曜
URL:https://www.furouen.co.jp/
SNS:


周辺情報

周辺情報

お東幼稚園に通い、大人になっても心の拠りどころ

店主の林さんにとって、東別院(正式名称:真宗大谷派名古屋別院)は子どもの頃からの遊び場であり、時に勉強する場所であり、地域コミュニティとして身近な存在であり続けているという。

林さんの幼稚園は、東別院に併設されている「お東幼稚園」。親鸞様いただきます、と手を合わせてから食事をすることが知らず知らずのうちに習慣となっていった。夏休みになると、早朝6時から境内にテーブルが出され、学びの場が提供される。近所の子どもたちが集まってきて、そこで勉強をしたのだそう。お寺さんからは、あんぱんやコーヒー牛乳、フルーツ牛乳などを出してもらって、みんなで喜んで食べたり飲んだりしたのだとか。

大人になった今でも、時折お参りをしたり、のんびりした時間を過ごすという。

「夏祭りなども催され、盆踊りやビールを飲んだりして楽しんでいます。毎月8,18,28日には朝市が開かれるので、その流れで不老園に寄ってくださるお客様も」と林さん。不老園には、喫茶スペースがあるので、それを目当てに来店される方もいるのだろう。立派な寺院を参拝してからは、歩いて数分の不老園で、季節の和菓子とお茶で一服コースをぜひおすすめしたい。

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